[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
久し振りの休暇だというのに、家に押しかけてきた銀時に無理やり外へと連れ出された。彼と会うのも久し振りだったし、会いたかったからそれはまだ良い。だが連れてこられたのが何故甘味所なのだろう。 口元を手で押さえながら、実南はじーっと銀時の目の前に置かれたものを見た。透明なガラスの容器の中身は、チョコレートやフルーツなどで何層にも分かれている。一番上のソフトクリームには色とりどりのスプレーがかかっており、見た目はとても綺麗だ。だからかもしれない。見ているだけでも気持ち悪くなるほど甘そうな超特大パフェから目を離せないでいるのは。 「…おえー」 「そこ!おえとか言わない!」 「だって銀…お前それ、本気で食うの?」 実南の言葉に、向かい合って座った銀時は似合わない満面の笑みで頷く。悪戯に口元を歪ませたり神楽たちを見ながら微笑んでいる銀時はよく見かけるが、ここまで嬉しそうにするのはこういう時だけだと思う。 「当たり前だろ。1ヶ月くらいずっと楽しみにしてたんだからな」 「あ、そう…」 正直、銀時の気持ちは実南には分からないし、分かりたくもないというのが本音だ。 実南は甘いものが苦手だった。嫌いと言ってもいい。それなのに目の前の恋人は甘いものが何よりも好きで、その度合いは糖尿病になるほどなのだから相当だ。実南は甘味所など絶対に来ないけれど、彼はきっと常連なのだろう。先程パフェを注文する時、いつものよろしく、と言っていたのがその証拠である。 医者には糖分摂取は控えるように言われてる筈なのに。そんな風に思いながら、実南は漸くパフェから視線を外した。 「つーかお前、俺がそーいうのダメだって知ってんだから連れてくんなよ…」 「お前は男のロマンってもんを分かってねーなァ」 「は?」 「パフェと実南っつー組み合わせを俺は楽しみにしてたんだよ。好きなもんに囲まれて、銀サンは幸せだよ本当…」 そう言ってパフェを口に運ぶ姿は本当に幸せそうで。実南は一気に顔を真っ赤に染めて、それに気付かれないように俯いた。 ――――思い出した。実南は銀時がこんな風にパフェか何かを幸せそうに食べている時の笑顔を見て、ああ、好きだなあと思ったのだ。それが今では、自分も銀時が幸せ気分を味わえるものに含まれているらしい。 嬉しい反面どこか恥ずかしくて、顔の赤みは暫く治まりそうにない。 「実南?」 「…銀」 「ん?」 「お前、甘い…」 Sweet Lover
( 2006/02/28 )
(だけど君の甘さなら、僕も好きかもしれない なんて) |