「マチュピチュ!」


 キングがティッシュボックスを叩いて答えると、と神童はぐいっと身を乗り出してテレビの画面に注目した。その中でキングに少し遅れて回答者が同じ答えで正解すると、ふたりは「おー!」と歓声を上げて手を叩く。


「凄いキング!これで15連続正解!」
「記録更新ですね」


 自分のように喜ぶの横で、神童もにこにこと微笑んでいる。ムサもいれば更に盛り上がったのだろうが、先程大家の家に風呂に入りに行ったので、今はと神童、そしてキングの3人しかいない。
 も神童も双子のようにキングに張り合って答えを言うようなことをしないから、今はキングの独壇場と化していた。叩き続けたティッシュボックスは、既に箱としての形を残しておらず、歪な形に変形してしまっている。


「今日の俺は冴えてるぜ…!」
「あ、でも今ので問題最後だったんだ。やっぱスペシャルじゃないとこれ以上の更新は難しいかな」


 番組はエンディングを迎え、今日一番正解数が多かったタレントに賞品を渡す場面が流れている。「キングの方が凄いじゃん」と呟きながら、は器用にティッシュボックスの形を元の状態に戻した。


「確か明後日、2時間のクイズ番組がありましたね」
「ああ、録画した」
「じゃあキング、それひとりで見るなよ。俺も一緒に見るから」
「僕も呼んでください。記録更新に立ち会わないと」


 「まずは20連続!」と盛り上がるふたりを、キングはくすぐったいような気持ちで眺める。ここまで期待されると、次も頑張らなければと思う。20回正解すればいいわけでなく連続で正解しなければならないわけだから、回数の割には難しいのだが、そんなのはどうでも良かった。ふたりとムサが楽しんでくれれば、キングはそれでいいのだ。

ザ・クイズショウ

( 2010/06/05 )