「、最近イチゴオレばっかり飲んでない?」 「そう?」 問い掛けられて、飲んでいたイチゴオレのパックを見る。少し振ってみると、残りはもう少ないようだった。パックだと容量が少ないのが残念だと思う。喉が渇いている時なんか、あっという間になくなってしまう。 「毎日一本は飲んでる気がするんだけど」 「あー…そうかも」 あんまり意識してはいなかったけど、そう言われてみればここ最近は休み時間のお供としてイチゴオレを選んでいたかもしれない。前はイチゴオレかバナナオレとかで悩んでいたけど、少し前から悩むこともなくなったし。 「そういう人を俺はもう一人知っているんですが、何か関係あるんですか?」 ずい、とシャープペンをマイクのように突き付けられて、思わずたじろぐ。問い掛けてくる祐希はいつになく真剣に見えた。 「もう一人って…?」 「おにいちゃん」 「…悠太も?」 この間、俺にイチゴオレを薦めてくれた祐希の双子の兄・悠太くん。祐希からいつも話は聞いているし、しょっちゅう一緒に騒いでいるところを見掛けるから名前だけは知っていたものの、俺個人としては話したことがなかったから悠太くんと呼んだら、悠太でいいよと許してくれたのはつい最近のことだ。 恐らく、というより間違いなく俺がイチゴオレを常飲するようになったのはその時からなんだけど、悠太もそうだったんだろうか。何となく恥ずかしいのはどうしてだろう。 「俺の知らないところで仲良くなってるし。何ですか、俺は除け者ですか」 「そんなわけないだろ?ていうか悠太に俺のこと話したの、祐希じゃないの?」 拗ねてみせる祐希がおかしくて、笑いながら問い掛ける。悠太は俺のことを知っていた理由を、「祐希が教えてくれた」と言ってた。だからそのはずなんだけど、否定しない代わりに祐希は不機嫌なままだ。 どうしたものかと悩んでいると、手に持ったイチゴオレの存在を思い出した。それをそのまま祐希に差し出す。 「祐希も飲む?おいしいよ」 いらないと突っ撥ねられるかなと思ったけど、祐希は複雑そうな顔をしながらパックを受け取って、ストローを口に含んだ。それを見ながら何となく思ったことを口に出す。 「…祐希と悠太ってほんと似てるよなあ」 「……区別つかないとか言ったら怒るよ」 「え?祐希はそういうの気にしてなさそうなのに」 「は何かやだ」 「はは」 まるで子どものような言い分に笑いながら、祐希の顔をじっと見た。…うん、やっぱり全然違う。ぱっと見は似ているけど、間違えるほどじゃない。 「大丈夫、俺には祐希は祐希にしか見えないよ」 だからそう言うと、祐希はぽかんと一瞬時を止めて。それから少しして、ふにゃりと破顔した。本当に嬉しそうなそれに俺も嬉しくなってつられて微笑むと、周りの女の子たちから黄色い悲鳴が上がる。 「相変わらずモテるね、祐希は」 「……今のは俺だけじゃないでしょ」 「?」 「自覚がないのも罪だよね」 「なんだよー」 sort
( 2012/03/17 )
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